#03 彩花の心象風景  -別れ際はいつも悲しい-

別れ際の空気は、いつも少しだけ冷たい。
さっきまで触れていたはずの温度が、指先からすり抜けていく。

どうして彼は、こんなにもあっさりと「またね」と言えるのだろう。
その一言で、わたしだけが取り残される。

胸の奥が、じわじわと締めつけられる。
わたしだけが、欲しがっているみたいで。

いっそ――逃げられないようにしてほしい。
どこにも行くなと、命令してほしい。
冷たくてもいい、たまに優しく触れてくれるなら、それだけでいいのに。

そんなこと、言えるはずもなくて。

彩花は、何もなかったみたいに微笑んで、
「またね」と、同じ言葉を返した。

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